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Sketch of Okinawa 2023

by hofli / Takashi Tsuda

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about

枝芽はいつも思わぬところから出る。温めてきた作品のアイデアの種があったのだが、ふと訪れた沖縄で拾った音から芽吹いたのがこの作品だ。
このところフィールド・レコーディングするときマイクを向けるのは曖昧模糊とした音ばかり。レコーダーを仕掛ける場所も、ホテルのユニットバス、冷蔵庫の中、ビルの屋上、海へと突き出した展望台の手摺りなど。カフェのトイレにこっそり仕掛けるわけにはいかないがダクト越しに聴こえるお店のBGMも魅力的だ。いずれも、何かを隔てた音や遠くから漂ってくるモワっとした響き、はっきりと聴き取れない間接的な音の塊、ほとんどノイズに埋もれて聴こえない音。何か向こうに聴こえるような気がして録音してみるが、もちろん思うようには録れない。録れないのだが、とりあえずはマイクを向けてみる。
ふと考えた。フィールドレコーディングらしきことを始めたときからずっとハッキリしていることは、特定の音だけを取り出して録音しようとしてもうまく録音できないこと、いつもぼうぼうごうごうと唸る空気の音が入ってしまうことだったのではなかったか。この、ぼうぼうごうごうした空気の音こそがフィールドレコーディングであり、それこそがこの世界の基層をなす通奏音なのではないだろうか。ならば、それをそのまま仕立ててみよう。
こうして、この作品はひとまずの形を成した。録音したそのままの部分と加工した部分とで成り立っているが、録音したままか加工したかという区別には意味はない。いずれもその場所の記憶に素直でありたいと考えてそうした。ここに収録された音は、だから旅先で聴いたぼうぼうごうごうと唸る空気の音の記録であり、同時に記憶であるだろう。

credits

released April 30, 2023

recorded, composed, and mixed by hofli / Takashi Tsuda
recorded in Okinawa, april 2023
composed and mixed at PNdB atelier, april 2023

license

all rights reserved

tags

about

hofli/TakashiTsuda Tokyo, Japan

www.takashitsuda.com

『水の記憶』(2006)
『雑木林と流星群』(2012)
『LOST AND FOUND』(2013)
『十二ヶ月のフラジャイル』(2014)
『木漏れ日の消息』(2016)
Federico Durand & hofli『Niebla y jardines tomados por las plantas』(2018, SPEKK)
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